きねぞう

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映画評:ちはやふるよ、永遠に。【ちはやふる ー結びー】

 

 

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

早速観て参りました!

 

 

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くぅ~、近江神宮行きたくなってきました。

 

 

ちはやふる ー結びー

製作:2018年/日本

監督:小泉徳宏

出演:広瀬すず

  :野村周平

  :真剣佑

  :賀来賢人

  :清原果那

rating:80点

 

 

ストーリー

高校三年の春。千早たちに触発され、再びかるたへの情熱を取り戻した新は、かるた部創設へと奔走する。全国大会で千早たちと戦う事を誓って邁進する新だったが、一方、千早たちは困窮していた。個性的な新入部員に手を焼きながらも予選に進む彼女たちだったが、突如、部長の太一が退部を宣言してしまったのだ……。

 

レビュー

三部作目にして本当の完結編。

 

やっぱり、ちはやふるっていいなぁ、と再確認させてくれた一作でした。

「俺たちいい青春送ったよな~」で終わるのではなく、自分たちが受け取ったものを次の世代に伝える、という継承をきちんと描いてくれたのが嬉しかった。完結編としてあるべき姿の着地であり、きちんと結んでくれた印象ですね。

 

まず序盤、新入部員の勧誘シーンを通じて、今一度、かるたという競技のおさらいをしてくれる所が丁寧で、完結編から見ようとする人(不届き者)にも配慮がなされていますね。

肉まん、かなちゃん、机くんといった、もう活躍の余地が無いと思われたキャラクターもきちんと役割を果たしています。肉まんやかなちゃんが、新入部員を優しく熱く導き、先輩らしい姿を見せてくれるのが嬉しいし、見学にきた下級生を仕切ったり、部活外の同級生に勉強を教える机くんを観て、「三年間でいろいろ成長したんだな……」と謎の感動。

新しく登場した周防名人、準クィーン我妻伊織も、これまでに出てきたキャラクターとはまた毛色が違って面白い。我妻役を演じた清原果耶は、どことなく十代の頃の栗山千明を彷彿とさせる顔立ちで、なかなか良いです。

今回、新入部員としてやってきた、筑波と花野もいいキャラしてますね。彼等の成長もきちんと映画的に描いているのが秀逸です。

プライドが高く周囲と衝突の大きかった筑波であれば、

「おれ、最初は尖って自分一人でかるたやってるつもりだったけど、先輩たちの熱い想いを受け取って、チームの大切さを学びました!」ってな風にセリフで説明するんじゃなくて、

試合出場にしぶる花野を、「俺たちに経験を積ませようとしてくれてるんだ」と、先輩たちの意図を理解した上で諭す場面や、試合中の負の流れを断ち切るために喝を入れて貢献する場面を描くことで、彼の変化というものを映画的に語っています。

男目当てで最初は全くかるたに興味の無かった花野も、

「わたし、最初は部長目当ての軽いつもりで入部したけど、かるたの素晴らしさ、仲間の絆と重みを知ることができました!」ってな風にセリフで説明するんじゃなくて、

最初はオシャレを優先して伸ばしていた爪を、かるたを専念するために切ったり、かなちゃんが詠んだ上の句に対して下の句をそらんじたりと、彼女の成長を直接的な台詞を使わずに描いている訳です。こういう手法って、当たり前といっちゃあ当たり前なんですが、出来てない作品の方が多いくらいなんですよね。

 

個人的に残念なのは、若宮詩暢演じる松岡美憂の出番があまりに少ないこと。今回は狂言回しとての機能しか果たしていないのが勿体ない。彼女が出てくるだけで物語にぐっと面白味が増すのに。

千早、太一、新の三人は相変わらず素晴らしい。今回は特に太一に感情移入してしまいます。彼だけはずっとかるたに対して揺れていた人間であり、だからこそドラマをずっと生み出し続けることが出来たのだと思いますね。そんな彼らが織りなす戦いは、ハイスピードカメラで捉える彼らの流麗なかるたさばき(?)に満ちており、本当に惚れ惚れします。

この映画のシリーズの何が素晴らしいって、旬の若手俳優たちが魅せるアンサンブルと、文字通り「今しか見れない輝き」の魅力が、仲間の絆、青春といった、映画で語ろうとしているテーマと符合していることなのです。

はっきり言ってしまえば、このシリーズよりも優れた作品は幾つもある。この作品よりも衝撃を受けた・感動した作品は沢山あります。けれど、もう一度観たい、またあいつらに会いたい、と思わせてくれる映画って、本当に一握りしかないんですよ。その中でこの「ちはやふる」は数少ないその価値を帯びた、稀有な存在なのです。

このシリーズをすべて劇場で鑑賞し、感動や興奮をリアルタイムで体験することが出来て私は本当に満足でした。

 

ありがとう!

ちはやふるよ、永遠に!

 

そして……

 

小泉監督の次回作にご期待下さい!!

 

ではまた。