映画評:Jホラーにトドメを刺してしまった【貞子vs伽椰子】と小さな救い。
こんにちは。
杵蔵です。
本当にがっかりしました……。
Jホラーの終焉を垣間見た気がしましたよ。
貞子vs伽椰子
製作:2016年/日本
監督:白石晃士
出演:山本美月
:玉城ティナ
:安藤政信
:佐津川愛実
:菊地麻衣
rating:20点
ストーリー
女子大生の倉橋有里は、親友の夏美から両親の結婚式のビデオのダビングを頼まれるが、そのことで偶然入手した、“呪いのビデオ”を夏美が見てしまう。二人は都市伝説の研究家でもある大学教授の森繁に助けを求めるが……。
レビュー
実を言うと、私は日本のホラー映画があまり好きではありません。
いわゆる、Jホラー的な表現が、トロくさくてかなわないのです。
最近はとにかく情報を詰め込み、スピーディーに次々と展開が広げられる映画が多く、それらと比べてしまうと退屈に感じてしまう。
現在、ホラー映画は下火で、かつて社会現象を巻き起こした「リング」や「呪怨」の勢いはどこへやら。既に貞子や俊雄もシリーズが続くにつれポップアイコン化し、貞子が始球式を務めたり、俊雄や伽椰子はインスタグラム等でキャラ崩壊をさせている。
もはや我々が真剣に恐怖する対象はどこにもいない……と憂いていた所に、この映画の予告編を観た時は、「こいつらもここまで来てしまったか」と思う一方で、どこか淡い期待を寄せていた所がありました。
マンネリ化していたシリーズに風穴を開けた「ジェイソンVSフレディ」のような快作であれば、形は違えど、再び、ホラー映画に新しい風が吹くのではないか……そう思って観たのですが、結果としては散々な出来でした。
なにより問題なのは……
ぜんぜんっ、対決してねぇ!
という一語に尽きます。タイトル詐欺も甚だしいです。
やってることはと言えば、シリーズでやってきたお決まりの流れを焼きまわし同然に交互に流し、最期だけ、申し訳程度に、ヤッツケ仕事的にちょろちょろっと絡んでオシマイ……。
そんなのアリか?
色々言いたいことはある。呪いのビデオのタイムリミットが1週間から2日にご都合的に短縮されているとか、俊雄役を務める子役が幽霊のハズなのにもう成長して背が伸びちゃってるとか、でもそんな些末なことを吹き飛ばす「対決のなさ」にはビックリです。
この映画での長所と言えば映画の最期。あれだけはケレン味があって良かったと思う。
あと主題歌。聖飢魔IIの「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」は素晴らしかった。劇場で聴けてよかったです。今でもたまに聴いてます。
劇場と言えば、子供たちが結構観に来ていたのが意外でした。
今時の子供なんて、わざわざ映画館で映画を観る以外にも色々な娯楽がある筈なのに。
子供料金とはいえ、彼等のお小遣いでは、映画代はけっして安くはない筈。それでも「貞子vs伽椰子って面白そうだよね」とホラー映画を観に来てくれることに、なんだか嬉しくなってしまう。上映後、キャッキャ言いながら、怖がり楽しんだ様子で劇場から出ていく彼等をみて、中学3年生のころ、友達と「着信アリfinal」を観て怖がっていた自分を思い出し、なんだか感慨深くなりました。彼等が喜んでいるなら許してやろう、などと、チョー偉そうなことを思いながら私も映画館を出た次第です。
ではまた。