きねぞう

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映画評:【ローズマリーの赤ちゃん】ホラーの教科書的傑作

 

ローズマリーとその夫ガイは、ニューヨークのとあるマンションに引っ越す。隣人である世話焼きの老夫婦と親密になりながら、新生活を満喫する二人。ある夜、ローズマリーは悪魔に犯されるという悪夢を体験する。その後、妊娠したことを喜ぶ彼女であったが……。

 

決定的な出来事、事態が起きている訳ではないのに感じる不信感を、妊婦特有のヒステリーであるというローズマリーの思い込みともとれるバランスで描くきます。

かといって、日本のホラー映画にありがちな思わせぶりなだけでひたすらとろいだけの演出ではなく、確かに感じるまがまがしさを描いています。それはひとえに、恐ろしい人間をきちんと描き、主人公を追い詰めているからなのだと感じます。ちょっと幽霊が通り過ぎて「ただの気のせいだ」で終わるだけの、物語にさして作用もない日本のホラー映画とは一線を画していますね。

お節介すぎる隣人の老夫婦が、じわじわと自分たちのパーソナルスペースを侵害していくようなイヤな感じが満載。全服の信頼を置いていた夫も、だんだんと老夫婦に感化されていき、彼女は子供を宿しながらも、取り残されて行ってしまう。誰を信じていいのかわからないまま、希望の種をどんどん摘み取られていき、彼女が感じる寄り処のなさが伝わってい来きます。

少しずつ謎がとかれ、真相が見えてくるストーリーテーリングも良く出来ており、伏線の回収も秀逸。それらも映画的なカタルシスをきちんと持たしている所も素晴らしいですね。他の芸のない「雰囲気ホラー」とは桁違いの恐怖。ミア・ファローも、焦燥し、痩せていき、狂気に満ちていくローズマリーを名演していると思います。恐怖映画とは何か、という問いに対する一つの到達点であり、永遠のホラー映画古典。

 

80点