きねぞう

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映画評:【アポカリプト】文明が征服される根本原因は、内部からの崩壊である。

 

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回の作品はこちらです。

 

 

アポカリプト

制作:2006年/アメリカ

監督:メル・ギブソン

出演:ルディ・ヤングブラッド

  :ダリア・エルナンデス

  :ヘラルド・タラセーナ

  :ラオウル・トルヒーヨ

  :マイラ・セリヴルオ

rating:85点

 

 

ストーリー

16世紀初頭のアメリカ。ジャングルの狩猟で生計を立てるジャガー・パウは、妻や集落の仲間たちと平和な生活を送っていた。しかしある日、マヤ帝国の傭兵に襲撃され、パウは男たちと共に、彼らの都に連行されてしまう。そこで彼らを待ち受けていたのは、彼らの集落を凌駕する巨大な文明と、残酷な生贄の儀式であった……。

 

レビュー

 

 

エクストリーム鬼ごっこ。

 

本作にキャッチコピーをつけるならこんな感じでしょうか。

 

名優メル・ギブソンが監督を務める、歴史アクション超大作。広大なジャングルを舞台に、家族の元へ帰ろうとする屈強な戦士の逃走劇を描く。

映画評論家の町山智浩氏は本作のストーリーに関して、1966年に公開された『裸のジャングル』との類似性を指摘していますが、私は本作の方が幾重にも優れた作品であると喧伝したい。

まず、序盤のシーンに注目して欲しい。主人公たちが捕らえられ、マヤ帝国に連行される場面です。圧倒的な人口と、高度に発達した暮らし。そこで彼らは、自分たちが築き上げてきた社会がいかに小さなものであったかと、打ちのめされる。今まで出会ったことのない他者、異物に遭遇するこのシークエンスは、出色の出来ですね。そして彼らは干ばつを鎮めるための生贄として捧げられることになるのですが、この場面も、向かう途中で通るトンネルに、生贄たちの行く末を残酷に描いた壁画があり、「これから自分たちがどうなってしまうのか?」という恐怖を存分に煽ってくれます。

生贄を捧げる処刑シーンも素晴らしいです。ゴア描写は結構見慣れていると思っていた私ですが、生きたまま心臓を引きずり出されたり、断たれた生首が神殿の階段を転がっていく描写が強烈すぎて、吐き気を覚えるほどでした。こんな衝撃を受けたのは『食人族』以来ですよ。

そして幸運にも都からの脱出に成功したジャガー・パウの逃走劇が始まる訳ですが、ここには幼い子供と身重の妻の元に帰るという明確な目標があります。果たして間に合うのか?というタイムリミットもありハラハラさせられる。そしてそれを阻止せんと追跡する傭兵たちも、強さと恐ろしさに説得力がありますね。逃げながらパウは、彼らを一人ずつ返り討ちにしていくのですが、その描写にもきちんとロジックがあり、アクションの見せ方が上手いです。

『裸のジャングル』がオリジナルだとすれば、それを遥かに凌駕する傑作ですね。

ではまた。