きねぞう

映画の感想や関連記事を載せていくブログです。

映画評:インチキな大人に宣戦布告!【ぼくらの七日間戦争】

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回の作品はこちらです。

 

 

ぼくらの七日間戦争

制作:1988/年日本

監督:菅原比呂志

出演:宮沢りえ

  :五十嵐美穂

  :安孫子里香

  :佐野史郎

  :室田日出男

rating:70点

 

 

ストーリー

夏が近づく暑い季節。青葉中学一年A組の男子8人が、姿を消した。突然の事態に慌てふためく学校の先生、保護者たち。実は生徒たちは食糧や武器を集めて廃工場に籠城し、大人たちに宣戦布告を始めていたのだ……。

 

レビュー

宗田理の人気ジュブナイル小説シリーズを映画化。学校の行き過ぎた規則や居場所のない家庭に反発した少年たちの、反抗と冒険を描く。

グループの少年たちにも、それぞれ役割や関係性があり、キャラクターの描き分けがきちんとされているのが良く出来ていますね。だからこそ、廃工場での、日常の桎梏から解放された彼らの、つかのまの楽園シーンは、生活感のある描写に仕上がっている。「なぜ彼らは反発したのか?」という少年たちの動機をほとんど説明的に描かず、あくまで彼らの冒険描写のみに専念したのは英断でしょう。彼らの動機に焦点を当て、その辺りの情緒に引っ張られることなくストーリーを進行していくのが好印象。彼らに対抗する教師たちも個性豊かで魅力的に描かれています。特筆すべきは、佐野史郎演じる八代先生でです。定規片手にピシッと女子生徒のスカートの丈を測ったり、ひたすら語呂合わせで歴史の年表を黒板に書き記したりする様は、佐野史郎の使い方をきちんとわかっているという感じ。

徹底して大人に弾圧される描写を入れることで、後のカタルシスにきちんと繋がっています。

「ネクタイが歪んでるぞ!」

「服装の乱れは、心の乱れ!」

と子供たちが啖呵をきるシーンは爽快でした。

私が個人的に好感を持つのは、こうした大人たちが、子供たちに対して、きちんと「他者」として存在し、対立していること。彼らは規律によって支配しようとするし、抵抗する者は容赦なく振る舞う。近頃の青春映画は、若者である主人公達をただ甘やかすだけの大人ばかりが登場する。それではいけない。そんなチャラチャラしたものは望んでいない。挫折し、身の丈を知り、世の中との折り合いをどこかで着けていく。それが大人になるということだと思うし、それこそが青春ですよ。とはいえ、彼らは一矢報いることが出来た訳だが、それも痛快ですね。

後半、先生たちに廃工場に突入すれるシーンは浅間山荘事件みたいなノリになっていきます。クライマックスの大仕掛けは、「そんな道具どうやって調達してきた?」とか、おまえらホントに中学生か?」と思えるようなツッコミ所もあるんですけどね……。

ではまた。