映画評:意外と真面目だった【女ガンマン 皆殺しのメロディ】
PS4のゲーム「レットデットリデンプション2」にハマっていて、それの影響で西部劇映画が観たくなり、最近になって色々と観ています。
ゲームをやっていて「うわぁ、映画みたいだぁ」と感心することはあっても、映画を観ていて「うわぁ、ゲームみたいだぁ」となることはあんまり無い。
ところがレットデットリデンプション2(以下RDR2)は西部開拓時代の文化や生活感などのディティールに物凄く凝っているので、その時代の再現度は物凄く高い。その上で映画的な手法や引用を多用しているので、感覚としては極上の映画を観ている気分とさほど変わらない。
だから西部劇映画をそんなに知らない私が観ると「うわぁ、RDR2みたいだぁ」となってしまうのでした。
そんな訳で今回観たのは「女ガンマン 皆殺しのメロディ」です。
パッケージにはポンチョを着た半裸姿の美女がセクシーポーズでキメており、
AVが借りられない中学生がレンタルしてしまいそうな表紙です。
ところが中身は意外と真面目。
時は西部開拓時代。逃走中の銀行強盗グループに襲撃を受け、夫は殺され、家は焼かれ、主人公のハニーはレイプされる。復讐を誓ったハニーは銃を手に取り、賞金稼ぎの元で修業しながら夫の仇である銀行強盗グループを追跡していく。
ハニーがレイプされる場面は、お色気シーンというよりかは、物語の必然性としてシリアスに描かれています。屈辱、悲惨さといった色調で、後にカタルシスをもたらす狙いになっている。
修行シーンが素晴らしいと思いました。
銃の握り方や取り出し方、といった一つ一つの動作をロジカルに教えていく。
こういう所作を雰囲気や精神的な理屈で描かない所がとても好印象。
拳銃もオーダーメイドで作るのですが、女性でも扱えるように銃身を軽くしたりするような描写もされてて、なかなか細かい。主人公が少しずつ成長していく姿が丁寧に積み重ねられていきます。
問題なのは敵役の銀行強盗グループの三人組でしょうか。
こいつらは悪役としての魅力に欠けています。基本全員がマヌケなのであんまりハラハラしない。「こんな悪い奴にどう立ち向かうんだ」とか「こんなに強そうなのに勝てるのか」と思えないのが惜しいところ。三人のやり取りもちょっとコメディチックだったりするので、完全に憎めないキャラクターになってしまっているのが、物語の感情移入を削いでしまう。
西部開拓時代に詳しくないのでなんとも言えませんが、あんな悪党が町の中をうろついているのに、町人が平然と生活を営んでいるのも少々違和感がありました。
rating 60点
それではまた。