映画評:【バトル・ロワイヤル】中学生たちがもがく殺し合いの青春
こんにちは。
杵蔵(きねぞう)です。
今回紹介するのは、この作品です!
バトル・ロワイヤル
製作:2000年日本
監督:深作欣二
出演:藤原竜也
:前田亜季
:ビートたけし
:栗山千明
:安藤政信
rating:70点
ストーリー
新世紀のはじめ、ひとつの国が壊れた。
自信を無くした大人たちは子供を恐れ、やがて、一つの法案が可決された。
岩城学園中学3年B組の生徒は、修学旅行中のバスの車内で催眠ガスを浴びせられ、眠ってしまう。
目を覚ますと、そこは無人島にそびえ立つ廃校の教室の中だった。武装した兵士たちに囲まれ戸惑う彼らに、元担任のキタノがBR法の実施を宣言する。それは、クラスの生徒が最後の一人まで殺し合うゲームだった……。
レビュー
高見広春の同名小説を映画化。外界から遮断された無人島を舞台に、総勢42名の中学生たちの凄惨な殺し合いを描く。監督は日本映画界の巨匠・深作欣二がメガホンを取ります。
子供達を殺し合わせるという法案が国会で可決されてしまうなど、パラレルワールドといえども荒唐無稽な設定であることは間違いないですね。しかし、教師キタノ役を務めるビートたけしの演技によるものか、その淡々とした語り口に妙な説得力があり、破綻しきったこの国の暗黒めいた閉塞感がひしひしと伝わってきます。
生徒たちを演じる俳優たちも今をときめく若手俳優ばかりであり、彼らが演じる登場人物も、どうみても中学生には見えない輩も居るのはさておき、個性が際立っていて面白いです。今観ると、かなり豪華な面子ですね。
一種の青春群像劇のようなテイストもうかがえ、その辺りが完全なデスゲーム物と一線を画した魅力になっていると感じます。
僕が特に気に入っているのは、前述したビートたけし演じる教師キタノですね。狂気じみた佇まいの中に静かな知性を持ち合わせているように見えて、その知性の中にまた狂気が宿っているような、捉えどころのない魅力的なキャラクターです。この教師役に説得力がないと、上記のとおり、この世界の設定自体がゆらぎかねない訳ですから、非常に重要な役割を演じています。
普段から感じていることですが、たけしの鋭く濡れたガラスの破片のような目は、本当に何を考えているのかわからないから不思議です。このキタノ役にも十分マッチしていて、原作とはまた違う魅力を引き出しているんではないでしょうか?
壮絶な殺し合いをケレン味溢れる演出で描き、どこかせつない余韻さえも残す、奇妙な名作です。
ではまた。