きねぞう

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映画評:謎解きはアクションのあと(オマケ)で【名探偵コナン から紅の恋歌】

 

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

名探偵コナンは、原作漫画はおろか、劇場版ですらまともに観たことが無い私。

今回は「かるた」がテーマになっているとかで、すっかり「ちはやふる」にかぶれていた私は釣られて観てしまいました。

 

 

名探偵コナン から紅の恋歌

製作:2017年/日本

監督:静野孔文

出演:高山みなみ

  :山崎和佳奈

  :堀川りょう

  :宮村優子

  :林原めぐみ

rating:30点

 

 

ストーリー

百人一首の大会『皐月杯』のリハーサルを見物するため、大阪のテレビ局にやってきたコナンたち。しかし、突如として発生した爆発事件に巻き込まれてしまう。やがて、京都で起きたもう一つの殺人事件が、今回の爆破事件と繋がっていると知ったコナンは、もう一人の高校生名探偵である服部平次とコンビを組んで、事件解明に乗り出すが……。

 

レビュー

原作は週刊少年サンデーでいまだ連載中の看板漫画であり、本作は国民的アニメとなったコナンシリーズの劇場版21作目。

 

私はどうやら、名探偵コナン劇場版をミステリーものだと誤解していたようです。

誤解して観た私が悪いのですが、まさかこんなに謎解き要素が無いとは思いもしませんでしたよ。

なんとなくチラッとみた初期の劇場作品では、もう少し謎解きの要素が、きちんとストーリーに組み込まれていた印象でした。現実世界ではやや無理があっても、作品内の中で通用する論理的な方法でもって解決する。謎を解く、という行動が障害を打破する鍵になる、ストーリーを進行させてゆく。そういう物だと思っていました。

しかし本作では、コナンは謎解きではなくアクションで事態を収拾してしまう。これではロジカルではなくフィジカル。勿論、劇場用作品だから、派手な演出がしたいのは分かります。しかしこれはミステリーを謳っているのだから、それはきちんと謎解きの面白さを見せていったその延長にあるもの、いわばオマケのような物でなければならないはず。私は歴代の作品をほとんど鑑賞していませんが、そのオマケがシリーズが続くにつれ肥大していったのが容易に想像できます。

例えるならば、テレビのバラエティ番組『行列のできる法律相談所』

最初は法律の豆知識や問題がテーマであったにもかかわらず、いつの間にか芸能人のトークがメインで、法律がオマケになっている。「タイトルにも出てるから一応法律やっておくか」みたいな感じで、申し訳程度にやっているだけ。

今回のコナンも、アクションが前面に出ていますが、謎解きの要素は本当に言い訳的につけているとしか思えません。例えば、現場の写真を解析して手がかりを探すシーンとかあったりするのですが、それも博士のコンピュータ頼りだったりで、ちっとも、頭脳は大人だけれど、見た目は子供だからこそ説ける謎がまったく無い。

 

……さすがに、もう100巻近く発刊している漫画に無茶を要求しすぎですかね?

 

せやかて、問題なのはそれだけではありません。

じゃぁアクションがいいのかというと、これも荒唐無稽でツッコミ所がありすぎるのです。

今回のテーマでもある「かるた」の扱い方もよくない。いくら素質があるとはいえ、かるた部の幽霊部員が、数日の特訓でクイーン級と渡り合えるような実力が発揮できる訳がない。登場人物も全部セリフで説明する。全く映画的でない。漫画のジャンルがジャンルだから仕方ないにせよ、そして子供向けだからもあるのでしょうが、それでもセリフが凄く説明的で、キャラクターが生きている感じがしません。「かるた」を論理的に、かつ映画的にストーリーに組み込んだ「ちはやふる」とは対照的で、本作では「かるた」がさほど盛り上がりを見せてくれない。

あと恋愛要素。

服部平次と遠山和葉の恋愛模様が描かれているとのことですが、原作が今なお連載中なのだから、この二人がこの作品内でくっつくワケがないのは明白なはず。何をドキドキしろというのか。

全体的に、「謎解き」「かるた」「恋愛」「アクション」といった要素を盛り込もうとして、一つとしてきちんとできていない印象でした。

ファンにとっては楽しめる作品なのでしょうが、門外漢の私にはかなり辛いものがありました。

ではまた。