きねぞう

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映画評:広瀬すずの思わぬ伏兵【チア☆ダン】を予想外に面白く観ちゃったホントの話

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

面白かったんですが、なんか人に勧めるのが恥ずかしい。

なぜだろう。

 

 

チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~

製作:2017年/日本

監督:河合勇人

出演:広瀬すず

  :中条あやみ

  :山崎紘菜

  :福原遥

  :天海祐希

rating:75点

 

 

ストーリー

福井県の福井中央高校に進学した友永ひかり。彼女は、想いを寄せていた山下孝介を応援するために、軽い気持ちでチアダンス部に入部する。ところが待ち受けていたのは、鬼教師・早乙女顧問によるスパルタ指導の日々であった。さらには“恋愛禁止”という掟まで出来てしまい、早くも当初の目的が無くなってしまうひかりであったが……。

 

レビュー

全米チアダンス大会で優勝した、福井県立福井商業高等学校の実話を映画化。普通の女子高生チアダンス部が全米制覇を成すまでの軌跡を描く。

鑑賞の始めと終わりの印象が、これほど大きく食い違ってくる作品は滅多にありません。そう思う程に、やたらと長いセンス皆無のタイトル、序盤の話運びには陳腐さが際立っていました。

本場アメリカと福井県のギャップを見せるための演出にしょぼいテロップを出したり、天海祐希演じる鬼教師の言動で雷光がピシャリと轟いたりと、目も当てられない演出が続きます。

 

ところが、本格的にチアダンスの練習を始める辺りから光明が差し込んでくるのです。

 

まず、キャスティングを含めた登場人物たちの描き方が上手い。宝塚出身の天海祐希は勿論、広瀬すずや中条あやみ、福原遥や柳ゆり菜といった、ビジュアル力とフィジカル力の両方の併せ持つ彼女たちの活躍により、物語としての説得力と、映画としての見せどころをきちんと達成しています。

広瀬すずは最初、下手なダンスしか踊れないという設定なのですが、彼女の運動神経が良すぎるので、ダメなダンスの演技に説得力がないというのがメタ的に面白ポイントでした。わざと頓珍漢な体の動かし方をするのですが、それにしては一つ一つの動作がキレがありすぎます。

始めは天真爛漫なひかり(広瀬すず)がムードメーカーとしてチームを牽引していくのですが、物語が進むにつれ練習は過酷になっていき、「みんなと楽しくダンスをしたい」という彼女が逆にチームから疎外されていくのが切ない。

一見、何でもできる優等生でありながら、チームを統率しなければならないプレッシャーに苦悩する彩乃(中条あやみ)と衝突する場面は、観ていて心が痛くなります。シビアな練習場面も丹念に描写された映画で、すっかりナーメテーターの私は佇まいを正した次第です。

また、元ストリードダンサーを演じた、山崎紘菜が素晴らしいです。県の新人陸上大会出場経験もあるようで、とにかく体がよく動く。

白眉なのが、中盤、仲違いをしてチームから抜けた彼女が一人、街のショーウィンドウを見詰めながら一人ダンスをしていると、広瀬すずと中条あやみ演じるひかりと彩乃がやってくる場面です。

何の言葉も交わさずに、二人もダンスに入り込むのですが、この、セリフは無くとも、互いの心情が交差し友情が再生してゆく過程の描写が、映画的な豊かさに満ちており、途方も無い感動を覚えました。

 

完全に素人の目線でしかないのですが、クライマックスで踊る彼女たちの姿はとても迫力と感動があります。体がよく動く役者達が懸命に研鑽を重ね、映画内の説得力にしっかりと貢献している真面目な作品だと感じました。

 

まぁ難しいことは考えずとも、頭をカラッポにしてチアダンスを眼福と眺めるだけでも一見の価値がありますので、騙されたと思って観るのがオススメです!

ではまた。