映画評:上質を知るハイソな貴方へ【キングスマン:ゴールデン・サークル】
こんにちは。
杵蔵(きねぞう)です。
普段アクション映画をほとんど観ない私でも、キングスマンだけは別格。
日本公開初日に鑑賞してきました。
いや~
秒でアガる。
キングスマン:ゴールデン・サークル
製作:2017年/イギリス
監督:マシュー・ヴォーン
出演:タロン・エガートン
:コリン・ファース
:ジュリアン・ムーア
:ハル・ベリー
:チャニング・テイタム
rating::70点
ストーリー
前作から1年後。突如、エグジーは候補生チャーリーに襲撃を受けるも、何とか撃退。しかしキングスマン本部の情報が漏洩してしまい、ミサイル攻撃を受け組織は壊滅。被害を免れたのはエグジーとマーリンのみ。ステイツマンの酒瓶に、救済の手がかりを得た二人は、アメリカのケンタッキー州へと向かうが……。
レビュー
スパイアクション映画「キングスマン」シリーズの第2弾。
舞台はイギリスからアメリカへと移り、諜報機関「ステイツマン」が登場。新たなる敵「ゴールデン・サークル」との戦いを描いています。
映画が始まるやいなや、主人公であるエグジーは襲撃を受け、いきなりアクショシーンへと移行します。「状況説明とかは前作で分かってる筈から、イチイチお膳立てなんてしないぜ」と言わんばかり。2作目であるということを贅沢に活かしています。
そしてこのアクションシーンが素晴らしい。走行中の車内で格闘になるのですが、繰り出される攻撃、受け止める、反撃する、といったアクション、それに反応する体の態勢や所作が抜群に観ていて気持ちいいのです。
漫画『ドラゴンボール』の戦闘描写が視線誘導を上手く捉えていて秀逸なように、キングスマンは観ていて一番気持ちがいい角度やタイミングでバッチリ描写してくれる。
キングスマンのアクションは「ハラハラ」というよりも「ワクワク」するので、思わず体が動いてしまうような出来栄えです。
カーアクションとしても見事。途中、二人の乗る車は多くの車が行き交う幹線道路の交差点に突入するのですが、するとカメラがかなり遠ざかった俯瞰視点になります。それによって、明らかに他の車とは逸脱した状態の説得力を持たせ、その説得力ゆえ、突き抜けたバカバカしさというか、もはや笑ってしまうような効果ももたらしてくれる。この辺りの見せ方も斬新ですね。
また前作と続けて魅力的なのが、登場する人物やアイテムがクラシカルかつポップなこと。スタンダードの上に新たな魅力を開花させたフレッシュさがあるので、同じ料金を払って観るとは思えないお得感、他とは一線を画すリッチさを生んでいます。
キングスマンが与えてくれるのは、圧倒的なラグジュアリー感なのです。
と、ここまでベタ褒めてしているにもかかわらず「じゃぁなんで評価は70点止まりなんだよ!」というツッコミが入ってきそうなのですが、これから述べることがその原因です……。
今回はあまりに脚本が杜撰(ずさん)すぎる。
キングスマンの諜報機関や仲間たちをミサイル一発で壊滅させて無かったことにするのは、1作目のファンをないがしろにしている気がします。代わりに登場したステイツマンですが、チャニング・テイタムやハル・ベリーも、新しいキャラクターとして活躍して欲しいのに、ほとんど見せ場がないまま終わってしまう。次回作への前振りみたいな扱いで、悪い意味で次の作品を意識し過ぎているように感じました。
ハリー(コリン・ファース)が生きていた、という展開もどっちらけで、実はこうでしたと言う説明も本当にご都合主義。しかも記憶を無くしているという設定も「メン・イン・ブラック2」のまんま、という感じで新鮮味に欠けますね。
彼が記憶を取り戻す方法も納得いきません。個人的には、戦いの中で覚醒する方が盛り上がる気がするのですが、どうでしょう?
今回の悪役「ゴールデン・サークル」もあまり盛り上げてくれない。悪の親玉を演じたジュリアン・ムーアは好演しているけれど、1作目のバレンタインには及びません。何より、前作のあのクライマックスを飾った狂乱じみた大展開もないため、全体的にスケールダウンしている感は否めません。
とはいえ、本作はどうしても嫌いにはなれません。
劇中でジョン・デンバーの「カントリー・ロード」が流れるなんて、ジブリで「耳をすませば」が一番好きな私にとって、点が甘くなることは不可避なのです。
アクションシーンと映画のルックはゴージャスそのもの。次回作が上映されれば、間違いなくすぐさま観に行く事は間違いないです。
ではまた。