きねぞう

映画の感想や関連記事を載せていくブログです。

特集:徹底解析!【ドラえもん のび太と銀河超特急】を語り尽くす! Part1

 

僕にとって、ドラえもん映画の中で最も思入れのある作品がこの「銀河超特急」です。といっても実際に劇場でドラえもん映画を観始めたのが次回作の「ねじまき都市冒険記」からなので、本作はテレビ放映されたものを録画して観ていたに過ぎません。しかしリアルタイムでこそ鑑賞はしていませんが、VHSテープが擦り切れそうなほどリピートしており、劇場作品の中では一番観ている作品だと思います。

 

レビューを書くにあたり内容を確認せねばと思い、ちょっとだけ観るつもりでしたが、結局最後まで観てしまいました。やっぱり面白い。「鉄人兵団」や「雲の王国」などといった、黄金時代の劇場作品と比べると分が悪いですが、僕にとっては一番馴染み深いのです。

今回は映画「ドラえもん のび太と銀河超特急」のストーリーを改めてなぞりながら、その魅力に迫りたいと思います。いつもよりも長くなりそうですが、お付き合い頂ければ幸いです。

 

 

 

part1:物語の始まり

 

まばゆい星が広がる、宇宙空間。その中を、謎の宇宙船が進行しています。宇宙船の外観を映したまま、乗組員らしき者たち同士のやり取りが聞こえてきます。姿は確認できません。

「新銀河に接近! 乙女座銀河団に属する一つです!」

「知的生命体は居そうか? 居ればその知的レベルは?」

声がザ・悪役。

画像サーチを開始すると、遠めに鉄道列車のような宇宙船が銀河の中を進んでいるのが確認できました。不審に思う彼らですが、すぐに古い宇宙船しか使えない文明レベルの低い連中なのだと納得。次の獲物はあの銀河だ、と狙いを定めます。彼らは宇宙をさまよう侵略者たちだったのです。

 

一方、地球。

いつもの空き地で、スネ夫が自慢をしています。残り2枚しかないミステリーツアーのチケットをみせびらかし、ジャイアンとしずかちゃんを旅行に誘います。のび太が遅れてやってきますが、どこか浮かない表情です。実はこの三日間、ドラえもんが帰ってこないとのこと。

心配するのび太に、

「どっかに飼われてるかもよ」

 「保健所に聞いてみた方が早いかもよ」

と馬鹿にするジャイアンとスネ夫の二人。煽りレベルが小学生とは思えません。これにたまらずのび太は

 

「ドラえも~ん!」

と叫び、恒例のオープニングソングが流れ出します。

ここ、テンション、ガン上がりです。プレステ1のスペック全部使ったみたいな、違和感剥き出しのフルCGも最高っす。この演出が、いつものテレビ放映と一線を画す、「これからドラえもん映画が始まるよ!」って感じがしてたまりませんなぁ。

 

その夜。家に帰ると、あっさり部屋でくつろいでいるドラえもん。夕飯前なのにドラ焼きを頬張っています。

どうやら、家を空けていたのは22世紀で買い物をしていたためのようです。ドラえもんが三日間並んでやっと手に入れたもの、それは「ミステリーツアー列車の切符」でした。SL型の宇宙船で旅する、宇宙のミステリーツアーです。

 

翌日、さっそく自慢話をするのび太。魅力的なそのツアーに、羨ましそうに耳を傾けるしずかちゃんとジャイアン。

「君たちも誘ってあげたかったのに、なんかスケジュールが重なってるみたいだね」

まさに一転攻勢。

「宇宙旅行も面白そうね」

「あ~あ、つまんねぇ約束したな」

スネ夫も一緒に居るのに、手のひら返しが凄い、しずかちゃんとジャイアン。

スネ夫は悔しそうに反論します。

「宇宙は危険なんだぞ! 真っ暗で、空気もないし!」

それに感化されたのび太はすぐさまドラえもんに泣きつきますが、一笑に付すドラえもん。保護者としての貫禄を見せます。

SL型の宇宙船は、かつて大事な交通手段として用いられてきましたが、どこでもドアが発明されてからはその役目を終え、今は観光用として使わているとのこと。遊覧船みたいなもので絶対安全なんだとか。こういう、ドラえもんの未来の世界観を掘り下げてくれる話って興味深いですよね。ドラえもんの口から聞くとお得な気持ちになります。

 

宇宙旅行は何日もかかるとのことですが、どこでもドアを活用した

「昼は学校、夜は宇宙旅行」

という提案をされます。なんて魅力的な響きなんでしょうか。日常と非日常がまじりあった、ドラえもんの世界観を端的に表す素敵な言葉ですね。

 

 一方、乙女座銀河では。

侵略者たちの宇宙船は、銀河の端、ハテノハテ星群に到着。生物の居ない惑星に着陸し、そこを根城とします。

 

 そして再び、地球。

夜になり、支度を進めるドラえもんとのび太。家を出る場面が描写されるのですが、ここが秀逸ですね。わざわざ、部屋の電気を消して、窓を閉じる所を描いています。この場面を省いたとしても、物語の進行には何ら問題はありません。しかし、この場面を描くことで、これから旅行へと向かう高揚感を見事に演出しています。

列車が来てくれることになっている、裏山に向かう二人。この裏山という舞台装置も素晴らしい。他の劇場作品でもたびたび使われますが、裏山は日常世界から異世界へと繋ぐ、架け橋の役割を担う事が多いです。

午前0時。裏山で待っていると、微かな汽笛の音が聞こえます。そして空から黄金の光が。七両編成のSL型宇宙船の登場です。冒頭、侵略者たちが発見した宇宙船はこれだったのですね。

 

次回に続きます!