きねぞう

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映画評:悲しみの意味を問う【インサイドヘッド】

 

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回の作品はこちら!

 

 

インサイドヘッド

制作:2015年/アメリカ

監督:ピート・ドクター

出演:エイミー・ポーラー

  :フィリス・スミス

  :リチャード・カインド

  :ビル・ヘイダー

  :ルイス・ブラック

rating:85点

 

 

ストーリー

11歳の少女、ライリーの頭の中には、5つの感情が存在していた。ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そしてカナシミである。彼らはライリーと共に生まれ、成長していく人格を持った感情であり、彼らがライリーの感情を統御していた。感情の筆頭であるヨロコビは、ライリーを幸せにするべく、常に明るく前向きな思考の工作を行い、彼女を泣かせたり落ち込ませたりするカナシミを遠ざけていたが……。

 

レビュー

ピクサーが送る、コンピュータアニメーション3D映画。少女を幸せにしようと、右往左往する感情たちの冒険と成長を描く。

まず人格を持った感情というアイディアが面白いですよね。ライリーがその時感じた感情が、思い出という一つの結晶となり、その連なり、積み重ねが、複雑な思考を構成し、彼女という人間を作っており、彼らはそれを統御しています。特に重要な思い出は、彼女の人格や世界観に大きく影響するのです。

そういったプロセスをCGアニメーションという手法によって、視覚的に説得力を持たせている所も素晴らしい。頭脳の電気信号をまるで遊園地のようなシュチエーションに作り替え、一つ一つが高質なクオリティを持つアトラクションとして完成させています。まさに映画という手法を最大限に活かした出色の出来栄え。

「常にポジティブな姿勢でなければならない」という昨今の風潮に懸念を抱いていた私は、本作の持つ真摯なメッセージに心を打たれたました。感情というのはもちろん、五つだけに分類される訳ではありません。一色では表せないほど、感情は途方もない深さ、豊かさを持っている筈です。そして、記憶は常に取捨選択され、別離や忘却の哀惜を感じさせつつも、それが人生を形取っていく。それらを学んでいくヨロコビ達の成長が、そのままライリーへの成長へと符合するという、物語の語り口があまりにも画期的で美しい。

同じ2015年に制作された『脳内ポイズンベリー』も、似たような設定だというから、世間は狭いですね。とはいえ、こちらは少女漫画が原作のラブコメのようですから、大分映画としての毛色は異なると思います。観比べてみるのも面白いかもしれませんね……。

ではまた。