きねぞう ~気ままに映画評~

映画の感想を述べていくブログです。

【映画評】伊丹十三はやっぱりスゴイ!ヤクザVS弁護士の行方は……【ミンボーの女】

こんにちは。

杵蔵です。

 

今回紹介するのは、この作品です。

 

 

ミンボーの女

監督:伊丹十三

制作:1992年日本

出演:宮本信子大地康雄村田雄浩宝田明大滝秀治

評価:A-

 

 

■ストーリー

『ホテル・ヨーロッパ』では、その弱腰な姿勢に付け込まれ、ヤクザからのゆすりが横行していた。

総支配人の小林は、経理部の鈴木とベルボーイの若杉を暴力団対策員として任命する。

しかし、素人の彼らではヤクザたちの硬軟織り交ぜた恐喝に敵う筈もなく、事態はさらに悪化していくばかりであった。

困窮する彼らに、民事介入暴力=ミンボーを専門とする弁護士・井上まひるがれ……。

 

■レビュー

ヤクザの恐怖や、民事不介入という警察のシステムを捉え、職業人として、一人の人間として成長していくホテルマンの姿を描いた、社会派エンターティメントの名作。

 

毎度感心させられるのは、伊丹監督の題材に対する緻密な取材力と、社会問題に鋭敏に迫るそのアプローチ力ですね。ヤクザの脅しの手口を丁寧に描き、そこに屈服していく人間に迫っていくストーリーテーリングが非常によく出来ています。

総支配人の小林が、ヤクザの経営するキャバレーに連れられ、罠に陥る場面。宝田明の名演が光り、本当に、人間が蹂躙されたときにみせる絶望の表情が凄まじく、この映画の白眉だと感じました。

ヤクザたちも迫力があってとても怖い。「暴力のプロ」の名は伊達ではなく、ホテル側にさまざまな罠を仕掛けようとしてくる。

はがゆいのは、ヤクザたちの脅しが、法律のギリギリのラインをいくもので、警察としても対応ができない、という点ですね。ホテルよいう客商売なのをよいことに、彼らに付け込まれてしまいます。

ヤクザの中には、お茶の間でよく見る俳優も出演していますが、バラエティ番組で観るような、コメディイメージを消し去る好演をしていますね。

 

何か救いの手立てはないのかと臍を噛む彼らに、颯爽と弁護士の井上まひるが現れる。圧倒的な法律知識と今まで培ってきた経験を武器に、堂々とヤクザたちに向かっていく姿は実に痛快。

そして、彼女に感化されるようにして、ホテルの従業員たちも次第に逞しくなっていく。

 

本作が上映されて間もなく、伊丹監督は暴力団に襲われ、全治三ヵ月の重傷を負いました。

暴力に対する希望を提示した伊丹監督は、暴力の報復を受けたのです。

しかし、彼はそれに屈するような男ではない。襲撃事件により身辺警護を受けた経験を、さっそく映画の材料にしてしまいます。1997年に公開される「マルタイの女」です。

 

伊丹十三は、やっぱりスゴイ!

 

ではまた。