映画評:ニッポンVS【シン・ゴジラ】
こんにちは。
杵蔵(きねぞう)です。
流行便乗シリーズ第二弾。
まだまだ行きますよ。
今回は、庵野秀明が監督した、あの大ヒット怪獣映画の感想を述べていきます!
ということで今回扱う作品はこちら!
シン・ゴジラ
製作:2016年/日本
監督:庵野秀明
出演:長谷川博己
:竹野内豊
:石原さとみ
:市川実日子
:松尾諭
rating:85点
ストーリー
東京湾に突如として現れた謎の巨大生物。翻弄される政府をよそに、本土に上陸したその怪獣は、次々と破壊の限りを尽くしていく。内閣官房副長官の矢口蘭堂は、有史以来の危機的状況を前に様々な対策を練るが、怪獣の進行を食い止める手立てには繋がらない。怪獣の正体とは、そして、ニッポンの命運やいかに……。
レビュー
「節子、それ庵野秀明版やない! ローランド・エメリッヒ版や!」というベタベタなボケは流して、本題に入っていきます。
正直、予告編を観たときは「またゴジラかい!」と思いました。
2014年にハリウッド製作で公開されたばかりでしたからね。
ちなみに私は、ゴジラシリーズについてはほとんど門外漢。観た作品としては、
・ゴジラ(1954年/日本)
初代ゴジラ。もちろん劇場では観ていない。正直、今観てもあまり面白く感じない。
・GODZILLA(1998年/アメリカ)
ローランド・エメリッヒ版。ジョン・レノンが主演です。子供のころ劇場で観て、パンフレットまで購入した筈なのですが、ほとんど思い出せない。かなり印象が薄い。
・GODZILLA ゴジラ(2014年/アメリカ)
ギャレス・エドワーズ版。渡辺謙が主演です。劇場で鑑賞。現代版としてかなりリニューアルされてますが、個人的には、ゴジラの善玉感が強く、あまりノレない作品でした。
このように、私はそれほどゴジラには思入れもなく、今回も完全にナメた状態で観に行ったのです。
しかし、今作は……。
「世界よ、これが日本映画だ!」
と言わんばかりの大傑作でした。
「ぼくたちが自慢されたい日本映画」
でもあります。
本当に謎の巨大生物が日本に侵攻するとどうなるか?というシュミレーション的リアリティの積み重ねと、濃厚なヒューマンドラマが両輪となり、謎がとけていく緻密な話運びと、これでもかという程の破壊描写の、緩急に満ちた、まさに巨大なジェットコースタームービーでした。
昨今の日本映画の「病理」ともいえる、お涙頂戴要素・恋愛要素をバッサリと切り捨てた結果、脂肪を極限まで減らした鋼鉄の筋肉のような芯のある骨太な娯楽超大作になっています。
コレ、本当に劇場で観れてよかったです。
中盤の、東京大破壊シーンには、劇場内で本当に絶望しました。
「おい、これどうすんだよニッポン……どうなるんだよ人類!」
と本気で手汗握りました。
これが「映画」であることを忘れて、これほどまでに物語の世界にのめり込んだのはいつ以来でしょうか。
あそこまで映画に感情移入させたのは、極限まで積み重ねられたリアリティの功績でしょう。感服しました。
個人的に好きなシーンが別にあって、それは自衛隊の戦闘ヘリが初めてゴジラと対峙する場面です。
向かってくるゴジラを迎撃しようとするのですが、ゴジラの前に、避難している民間人を発見します。
攻撃命令を待つ自衛隊ですが、大河内総理は苦悶した挙句、「なにがあっても国民に自衛隊の弾を向けることは出来ない!」と、退却を命じます。
これを観て、私の中で「なに悠長なこと言ってるんだよ!」という苛立ちがありましたが、それと同時に、終戦から平和を目指してきた日本の矜持を見た気がし、何やら焦燥と誇らしさがないまぜになった、複雑な感情の芽生えに戸惑ったことを覚えています。
超絶技巧の娯楽作でありながら、もちろん社会的な意義も沢山詰まった作品です。
未見の方はとにかく観て欲し作品でした。
次のゴジラ作品は相当ハードルが高いでしょうね。
「マトリックス」がこれまでのアクション表現を刷新したように、
「ロード・オブ・ザ・リング」がファンタジー映画の水準を引き上げたように、
「シン・ゴジラ」も、ゴジラシリーズのエポックメイキングとして、クラシック入りする作品なのは間違いない訳です。
もう我々観客は不要にリテラシーが上がっていますからね。
それをどう乗り越えてくれるか、期待ですね。
ではまた。