映画評:色褪せない名作【七人の侍】
こんにちは。
杵蔵(きねぞう)です。
「黒澤明の作品でどれが一番好き?」
と聞かれたとき、やっぱりベタですが、この作品かもしれません。
という訳で今回紹介するのはこちらです!
七人の侍
製作:1954年/日本
監督:黒澤明
出演:志村喬
:三船敏郎
:木村功
:稲葉義男
:加東大介
rating:85点
ストーリー
時は戦国。
毎年収穫の時期に、盗賊と化した野武士の集団に襲われ、恐怖に怯えていた村人。
しかし自分達だけで戦っても勝ち目はありそうも無く、下手に逆らえば皆殺しになるのは目に見えていた。
苦難の末、村人たちは侍を雇うことを思い立つのだが……。
レビュー
日本が誇る、巨匠・黒澤明監督の超大作。
日本映画の最高峰に位置し、いまさら私などが取り上げる必要も無く、各方面で様々な研究がされている作品ですが、やはりレビューを書かずにはいられない。
まず言いたいのは、公開されたのは昭和29年ですが、今観ても面白いということ。
画面が白黒であることは何のマイナスにもなっていません。
なんというかジューシーなんです。
古さが感じられない。
月日が経つにつれ価値観が変わり、時代が変遷するにつれ、どんな名作もかならず陳腐な部分が出てきます。
けれど、この映画はそれが無い。
いま観ても充分楽しめるのだから、公開当時は相当の衝撃が走ったことでしょう。
個人的に気に入っているのは、侍たちの中でも、特に剣術に秀た久蔵という男です。
剣の達人なのですが、寡黙で冷静・実に頼れる男です。
村を要塞化するにあたり鉄砲が必要でしたが、久蔵がふらっと一人で出かけ、敵の野武士を襲撃し、奪ってきます。
大手柄にもかかわらず、帰ってきた彼は銃を村人に預けるなり「少し寝る」といって一人で寝入ろうとします。
若侍の岡本勝四郎は感激し、いてもたってもいられず、彼の元に向かい「あなたは素晴らしい人だ。それだけ言いたかったんです」と伝える。
個人的に、この作品の中で一番印象に残っているシーンです。
百姓が侍を雇うという奇抜なアイディア、村をまるごと要塞化し野武士を迎撃するという斬新な発想。
正確無比な時代考証による徹底したリアリティ。
当時誰も思い付かなかった、雨中泥だらけの大合戦の大迫力。
200分を超える内容でありながら、息を呑むほどの濃密さが詰まった、古今無双の名作です。
ではまた。