きねぞう ~気ままに映画評~

映画の感想を述べていくブログです。

【映画評:ゴースト/ニューヨークの幻】幽霊だって命がけ!

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回紹介する作品はこちら!

 

 

ゴースト/ニューヨークの幻

製作:1990年/アメリカ

監督:ジェリー・ザッカー

出演:パトリック・スウェイジ

  :デミ・ムーア

  :ウーピー・ゴールドバーグ

  :トニー・ゴールドウィン

  :ヴィンセント・スキャヴェリ

評価:A-

 

■ストーリー

 

 サムとその恋人モリーは、新しい生活も始まり、仲睦まじく幸せな日々を送っていた。ある日の夜、デートの帰り道に二人は暴漢に襲われ、モリーを守ろうとしたサムは命を落としてしまう。しかしサムは、自分の亡骸を抱えながら泣き叫ぶ彼女を見ることができた。彼はゴーストになってしまったのだ。姿も見えず声も聞こえない幽霊となったサムは、それでも取り残された彼女のために、いつまでもそばで見守ろうとするが……。

■レビュー

 

 死んでも愛する人を守りたいと、恋人の幽霊が奮闘する姿を描く。

 ライチャス・ブラザーズの主題歌「アイチェインド・メロディ」でも知られており、映画本編は未視聴でも、パトリック・スウェイジデミ・ムーアが、ろくろを回しながら抱き合うラブシーンは観たことがあるという人も多いと思います。そのシーンの印象が強すぎるためか、純粋な恋愛映画と誤解されがちな作品でもありますね。確かに映画の区分けとしてはラブロマンスと位置付けるのが便宜的なんですが、本作はファンタジーやコメディ、サスペンスやホラーといったあらゆるジャンルの特色を見せる、玉虫色のエンターテイメント映画の傑作なんです。

 生前は清い人生であった温厚誠実なサムは、死んだことによって天国に迎えられるが、残された彼女のために、彼は現世に留まる決意をする。ファンタジックな展開からストーリーは進行していきますが、彼は現世への接触を図るため、インチキ霊媒師の手を借りて一悶着始める場面はコメディだし、自分を殺した暴漢の魔の手が、彼女に襲い掛かる部分はサスペンスで、幽霊であるサムが、人ならざる者のアドバンテージを活かして、悪漢たちを追い詰めていく所はホラーだったりします。

 パトリック・スウェイジをはじめとする俳優たちの表情や仕草も輝いていて、隆盛を極めていた90年代の映画の魅力が沢山詰まった、珠玉の一作です。

 

ちなみに、20年の時を経て作られた「ゴースト もう一度抱きしめたい」というリメイク作もあったりします。松嶋菜々子とソンスンホン主演のアジア版リメイクですね。こっちの方は未見ですが、あんまり評判が良くないみたい……。

 

ではまた。

 

 

【映画評:ぼくたちの家族】「とっくにこの家族なんて、ぶっ壊れてんだ」

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回紹介する映画はこちらです。

 

 

ぼくたちの家族

製作:2014年/日本

監督:石井裕也

出演:妻夫木聡

  :池松壮亮

  :原田美枝子

  :長塚京三

  :黒川芽以

評価:

 

■ストーリー

物忘れの激しい母・玲子は検査のために病院へと連れられるが、そこで末期の脳腫瘍と診断されてしまう。

余命一週間とまで宣告され、父と二人の兄弟は騒然。やがて、母の突然の病によって、隠されていた家族の問題が浮き彫りになっていき……。

 

■レビュー

早見和真の自伝的小説「砂上のファンファーレ」を映画化。突然の母の病によって翻弄される父と二人の兄弟の、繊細な家族模様を描く。

母の脳腫瘍が見つかり、今までバラバラになっていた家族が一つにまとまる、という簡単な話にはなってくれない。むしろ、表面上は保っていた家族の均衡が崩れていく。

病室で母の病名を告げられるシーンが秀逸ですね。医者の告知によって、日常から非日常へと突き落とされる訳ですが、「余命一週間」というあまりにも唐突なリミットで、むしろ現実味がない。聞いている父や兄も「えっ?」という感じで、上手く呑み込めないのです。途方に暮れる一方でじわじわと絶望が湧き出すこの場面は、尋常でない事態が既に進行しているのに、状況を把握しきれない奇妙な距離感を上手く捉えています。

物語は基本的に、妻夫木聡演じる、兄の浩介の視点によって描かれています。浩介は引きこもりだった過去を持ちながらも、会社に勤めて結婚し、妻との間に新しい命を授かるなど、人並みの家庭を築き、一人の社会人として自立していた。しかし、母が入院すると、借金まみれの父と、穀潰し同然の弟と力を合わせて、この困難を乗り切らなければならないのです。父と弟のズレた思考や頼りなささが苛立ちを募らせ、借金や医療費の資金繰りに悩まされ、味方である筈の妻も理解されず、やがて浩介は、無力だった少年時代に逆戻りするかのように、次第に追い詰められていく。

特筆すべきは弟を演じる池松壮亮の演技力ですよ。何かを成し遂げた訳でもなく、母親に金ばかりたかるくせに、どこか斜に構えて悟ったような言動は、同年代の俳優・染谷将太とはまた違った、「ぶん殴りたくなる演技」ですね。

この家族にものすごく感情移入しながら見続けていたので、「え~もう終わり?2は?続編は?」と、悶えるほど面白かったです。「映画に置いていかれる快感」という、数少ない、非常に優れた作品だけが持つ余韻を湛えた傑作ですね。

 

ではまた。

 

【映画評:ザ・グリード】ヤツは人間を食うために生まれてきた!

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杵蔵(きねぞう)です。

 

今回紹介する作品は、こちらです!

 

 

 

ザ・グリード

製作:1998年/アメリカ

監督:スティーブン・ソマーズ

出演:トリート・ウィリアムズ

  :ファムケ・ヤンセン

  :ケヴィン・J・オコナー

  :アンソニー・ヒールド

  :ウェス・ステュディ

評価:A-

 

 

■ストーリー

嵐の大海原。ジョン・フィネガン一行が操縦する密輸船は、武装した略奪組織によって占拠されてしまう。

彼らの目的は、処女航海中の豪華客船アルゴノーティカ号の襲撃だった。やむなくフィネガン達は彼らに従い、一同は目当てのアルゴノーティカ号へ乗り込むことに成功。しかし約3000人の乗客が居るはずの船内に人影は見つからない。やがて、乗客消失の元凶である「何か」が彼らに襲いかかり……。

 

■レビュー

絶海の豪華客船という二つの巨大な密室構造の中で繰り広げられる、モンスターパニックムービーの傑作。沈没していく巨大な客船を舞台に、暗く冷たい深海からやってきた未知の怪物との死闘を描く。監督は「ミイラ再生」のリメイク「ハムナプトラ」シリーズで知られる、スティーブン・ソマーズがメガホンを取る。

物語のスピィーディーな進行と、緊張と緩和のリズムが秀逸で、観客を飽きせることなく最後まで引っ張っていく。

大海原にぽつんと浮かぶ豪華客船というシュチエーションもいいですね。個人的に気に入っているのは、主人公達がアルゴノーティカ号に到着した頃にはすでに船内はモヌケの殻であり、モンスターの襲撃の後である、というストーリー構造。謎の怪物によって全滅した、という原因と結果にギャップが生じ、そのタイムラグが、恐怖を想像させる余地を作るからです。宝の山である豪華客船を歩いていたつもりが、実は巨大な怪物の巣であったと気づいたときの、背筋の凍る恐怖。

映画中盤、犠牲となった彼らの無残な亡骸に出くわした時の、真っ赤に染まった、地獄の宴のような死屍累々の描写は壮観とも言えます。

実際に怪物が3000人の乗客を捕食するシーンはないので、「90分で3000人、喰って、喰って、喰いまくれ!」というキャッチコピーは詐欺に近いんですけどね。その点はご愛敬。

巨大な密室の中で怪物たちに追われたり戦ったりする面白さに加えて、次第に沈没していく船からの脱出という、タイムリミットを設けたストーリーも良く出来ていますね。

怪物と相対するキャラクター達も個性豊かな面々であり、まさにモンスター映画のあらゆる要素を踏襲した、珠玉の一作。

 

ではまた。

 

 

【映画評:桐島、部活やめるってよ】 神木隆乃介がゾンビ映画監督を好演! 全員、他人事じゃない!

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回は、この作品を紹介していきますね。

 

 

桐島、部活やめるってよ

製作:2012年日本

監督:吉田大八

出演:神木隆乃介

  :橋本愛

  :東出昌夫

  :清水くるみ

  :山本美月

評価:

 

■ストーリー

学校一の人気者である桐島が、バレー部を辞めるらしい。それを知ったバレー部の部員をはじめ、彼の恋人や親しい友人、ひいては桐島と直接関わりのなかった生徒たちでさえ、混乱の渦に巻き込まれていき……。

 

■レビュー

新進気鋭の若手小説家、朝井リョウ早稲田大学在学中に執筆したデビュー作を映画化。

バレー部の要であった桐島が退部を宣言し、半ば失踪に近い形で行方をくらませる。井戸に投げ込まれた石の様に、桐島の退部が、周りのそれぞれ事情や悩みを抱えた生徒たちに波紋となって広がり、お互い微妙な関係で保っていた人間関係が揺らぎだします。表面的に学園生活を過ごしていた彼らは、お互い否応なしに他人や自分と向き合う事になってしまうのです。

興味深いのは、事の発端である桐島が一切姿を見せず、彼の言動や人物像もすべて他の登場人物の伝聞のみで描いている点。登場人物の視点を変えた群青劇スタイルに時間軸をずらした映画の構造が、物語の性質とも符合し秀逸な工夫をみせていますね。

僕が注目するのは、神木隆乃介が演じる前田涼也という主人公格の一人。彼は映画が大好きで、特にホラー映画の、それもカルトムービーに傾倒しているらしく、顧問教師にジョージ・A・ロメロ監督について熱を込めて話したりするような映画マニアなんです。

たまたま映画館に居合わせた同級生の女の子と映画の話になる場面が素晴らしく、好きな映画監督の名前が話題に出て思わずはしゃいでしまう所など、オタク特有の挙動を上手く捉えています。僕も「学校の怪談シリーズ」が話題に出たら、こんな風になってしまうかもしれません。

彼は映画部の部長も務めていてます。この映画部の部員たちというのが、学校の底辺に属しているというか、スクールカーストの最下層に居る者たちで、彼らの姿もきちんと描かれていたりする。この辺りの実在感が凄いですね。大学ではありますが、僕が所属していた部活の部室あんな感じでした。

古き良き青春を描いてきた今までの作品とは違い、あの時、僕らが学校で感じていた強固な同調圧力スクールカーストを生々しく描いていて、ある種の青春に対するアンチテーゼも込められている、そんな気がします。

決して交わることのなかった彼らの人生が、ほんの一瞬交差する、瑞々しい名作です。

 

ではまた。

 

【映画評:帰ってきたドラえもん】「君に勝てないと、ドラえもんが、安心して未来に帰れないんだ!」

 

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回紹介するのはこの作品です!

 

 

帰ってきたドラえもん

製作:1998年日本

監督:渡辺歩

出演:大山のぶ代

  :小原乃梨子

  :野村道子

  :たてかべ和也

  :肝付兼太

評価:

 

■ストーリー

ある日、いつものようにジャイアンに追い回されたのび太は、ドラえもんに泣きつき、道具が欲しいとねだる。しかしドラえもんの態度はそっけない。実はドラえもんは未来の世界に帰る事になってしまったのだ……。

 

■レビュー

ドラえもん のび太と南海大冒険」の同時上映作として公開された短編アニメーション。原作並びにテレビアニメとしても人気を博したエピソードを劇場版としてリメイクしています。

まず冒頭のシークエンスに注目して頂きたい。線路沿いに桜の木があり、青い風船が映り込みます。まるでドラえもんの頭部を思わせるそれは、持ち主の女の子の手を離れ、空に吸い込まれるように飛び去ってしまう。シーンが変わり、ドラえもんの頭部が同じような構図で映されます。「桜が見られてよかった」とドラえもんは呟き、物語の始めから惜別を暗示させています。桜がのちの伏線にも繋がっていて、丁寧な作りを感じますね。

 

突然、未来に帰ってしまうと打ち明けられたのび太は断固反対。しかし押入れの中で泣いていたのび太は、玩具箱の中からだるまを取り出し、お婆ちゃんと約束した「ぼく、だるまになる。転んでもちゃんとひとりで起き上がる」という言葉を思い出します。約束を思い出したのび太は、ドラえもんを心配させないために別れを決心するのです。

最後の夜だからと、同じ布団で寝る二人。「寒くない?」とドラえもんに心配されます。カットが変わると、二人で寝ているために、のび太側の布団がすこしめくれているんですが、のび太は「ううん」と返す。のび太の優しさを、さりげなく描いた名場面だと思います。

 

さらに、今作は背景が秀逸だと感じます。眠れない二人は、夜の道を散歩するのですが、通常のドラえもんアニメでは単純化している背景がとても描き込まれている。道路工事の看板だとかフェンスが書き込まれていて、赤いランプがぼおっとドラえもんの体を染めるのです。このリアルな背景の描き込みによって、「ドラえもんが未来に帰ってしまう」という「現実」を、シリアスに、生々しく描くことに成功していますね。

 

個人的に好きなところは、のび太ドラえもんのために、どら焼きを買いに行く場面ですね。ドラえもんが帰ってきたとジャイアンに告げられ、喜びの余り、自分の貯金箱をひっくり返して買い物に行くんです。普段は散財して一文無し同然ののび太が、有り金全てをはたいて、ドラえもんを喜ばせようとする。これだけで僕は泣きそうになります。というかこの作品の全シーン、全カットで泣けますけどね。

 

余談ですが、僕は原作のドラえもんよりも、今作のような旧アニメ版時代のドラえもんの方が好きなんです。原作やリニューアルアニメはドラえもんのび太の関係が悪友めいた「親友」として描かれているのに対し、旧アニメは母親のような、のび太にとっての優しい「保護者」として描かれているから。

だからこそ、ドラえもんとの別れは、のび太にとってより悲劇であり、成長せざるをえない試練なのです。

 

ではまた。

 

【WOOD JOB! 神去なあなあ日常】 染谷将太が林業に悪戦苦闘!

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回紹介する作品はこちら!

 

 

WOOD JOB! 神去なあなあ日常

製作:2014年日本

監督:矢口史靖

出演:染谷将太

  :長澤まさみ

  :伊藤英明

  :優香

  :西田尚美

 

評価:

 

■ストーリー

大学受験に失敗し、彼女にも振られてしまった平野勇気。高校卒業後の進路が決まらない彼の目に、ふと林業研修のパンフレットが目に留まる。その表紙を飾っていた美女の微笑みに惹かれた勇気は、軽い気持ちで、一年間の林業研修プログラムに参加するが……。

 

■レビュー

三浦しをんの小説「神去なあなあ日常」を原作とした青春映画。都会育ちの「イマドキの若者」である少年が、山奥での厳しい掟や慣習、林業の過酷な現場に悪戦苦闘しながらも、村人たちや自然との触れ合いを通じて成長していく姿を描く。

矢口史靖監督はすでに、伊丹十三の風格すら感じますね。

マイノリティカルチャーに沿わせて人物の成長を描く手法が彼の常套手段とも言えますが、相変わらず「向こう側の世界」を描くのが非常に上手い!

今回はしっかりとした小説の原作があるので、どこまで監督の裁量で描かれているのかはわかりませんが、我々が普段目にする事の出来ない景色や文化を、丹念に咀嚼し、物語に落とし込んでいく手腕はやはり健在。

素晴らしいのは、登場人物の台詞などを安易に説明的にせずに、映像でもって説得力を持たしている点なのです。例えば、こんな場面があります。作業場に行く際にトラックの荷台に乗せられる主人公の勇気ですが、同じく乗り合わせた男たちが聴いたこともない木挽き歌を歌い始め、その独特な異文化の雰囲気に思わず眉をひそめてしまう。林業の研修も嫌々参加しているため、研修の残り日数をまるで刑務所の刑期のように数えて覚えています。ところが林業に携わる過程で、少しずつ周囲に認められるようになり、やりがいを覚えていくようになる勇気。トラックの荷台では彼が率先して木挽き歌を歌い始めるし、山奥での暮らしに没頭していく内に、研修の残り日数もいつの日か頭から消えてしまうのです。ここで凡百の映画監督なら、非常に説明的な台詞を登場人物にしゃべらせています。きちんと、観客自身が登場人物の気持ちを「読み取れる」ように描く、これが映画的な手法と言えます。

そうした彼の心の変化を巧みに描写しながら、個性的な登場人物や山での豊かな生活を魅力的に描き切った傑作です。

村人たちの生活感もしっかり表現していて、男衆を演じる俳優たちも「最初からそこにいた」感がハンパじゃないです。ぜひ観てください!

 

ではまた。

 

【映画評:バトル・ロワイヤル】 ビートたけしが怪演! 壮絶な中学生たちの殺し合い。

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回紹介するのは、この作品です!

 

 

バトル・ロワイヤル

製作:2000年日本

監督:深作欣二

出演:藤原竜也 

  :前田亜季

  :ビートたけし

  :栗山千明

  :安藤政信

 

評価:A-

 

 

□ストーリー

新世紀のはじめ、ひとつの国が壊れた。

自信を無くした大人たちは子供を恐れ、やがて、一つの法案が可決された。

岩城学園中学3年B組の生徒は、修学旅行中のバスの車内で催眠ガスを浴びせられ、眠ってしまう。

目を覚ますと、そこは無人島にそびえ立つ廃校の教室の中だった。武装した兵士たちに囲まれ戸惑う彼らに、元担任のキタノがBR法の実施を宣言する。それは、クラスの生徒が最後の一人まで殺し合うゲームだった……。

 

□レビュー

 高見広春の同名小説を映画化。外界から遮断された無人島を舞台に、総勢42名の中学生たちの凄惨な殺し合いを描く。監督は日本映画界の巨匠・深作欣二がメガホンを取ります。

子供達を殺し合わせるという法案が国会で可決されてしまうなど、パラレルワールドといえども荒唐無稽な設定であることは間違いないですね。しかし、教師キタノ役を務めるビートたけしの演技によるものか、その淡々とした語り口に妙な説得力があり、破綻しきったこの国の暗黒めいた閉塞感がひしひしと伝わってきます。

生徒たちを演じる俳優たちも今をときめく若手俳優ばかりであり、彼らが演じる登場人物も、どうみても中学生には見えない輩も居るのはさておき、個性が際立っていて面白いです。今観ると、かなり豪華な面子ですね。

一種の青春群像劇のようなテイストもうかがえ、その辺りが完全なデスゲーム物と一線を画した魅力になっていると感じます。

 僕が特に気に入っているのは、前述したビートたけし演じる教師キタノですね。狂気じみた佇まいの中に静かな知性を持ち合わせているように見えて、その知性の中にまた狂気が宿っているような、捉えどころのない魅力的なキャラクターです。この教師役に説得力がないと、上記のとおり、この世界の設定自体がゆらぎかねない訳ですから、非常に重要な役割を演じています。

普段から感じていることですが、たけしの鋭く濡れたガラスの破片のような目は、本当に何を考えているのかわからないから不思議です。このキタノ役にも十分マッチしていて、原作とはまた違う魅力を引き出しているんではないでしょうか?

壮絶な殺し合いをケレン味溢れる演出で描き、どこかせつない余韻さえも残す、奇妙な名作です。

 

ではまた。