きねぞう

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書評:【ライムスター宇多丸の映画カウンセリング】を読んでみた!

ライムスター宇多丸の映画本が出ていたので読んでみた。

 

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映画評論家として完全に権威となった宇多丸師匠。僕は師匠の音楽を聴いたことが無いが、彼の映画評論は大好きだ。特に駄作をけなす上手さは天下一品。最初は観るつもりのなかった映画でも、彼の酷評を聴いて「そんなに酷いのか」と確かめるように観てしまった作品が何本かある。「カンフーくん」とか「サンブンノイチ」等がその例だ。

最近はそういう、クソ作品に体当たりしていくような事が無いのが残念。宇多丸師匠も偉くなり過ぎたのだろう。

 

さて、本書はカウンセリングとは名ばかりのただの映画紹介……ではなく、質問者に対し宇多丸なりの考えを丁寧に開示した上で、ちゃんとお悩み相談にも乗っている。その中でも息を吐くように様々な映画を引き合いに出しているのも凄い。改めて、宇多丸の映画に対する見識の深さに驚かされたし、文章もすこぶる上手いのに感心した。適切な言葉の選び方、その配置が絶妙でスルスルと読めた。

オススメ映画を聞いて効率的に映画を観ることに対する苦言にも共感した。僕は小さい頃、映画と言えば劇場よりもテレビでやっていた「午後のロードショー」や「木曜洋画劇場」の方が馴染み深かった。テレビで放映していたものを偶然観てハマってしまう体験は、映画館ではあまり味わえない。

あと、聞かれたからオススメ映画を教えても、その後観たっていう人ほとんど居ないのが悲しい。