映画評:偉大なるSF超大作【チャッピー】
こんにちは。
杵蔵(きねぞう)です。
今回紹介する作品はこちらです!
チャッピー
制作:2015年/アメリカ
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャールト・コプリー
:デーヴ・パテール、
:ダイ・アントワード
:ヒュー・ジャックマン、
:シガニー・ウィーバー
rating:95点
ストーリー
近未来のヨハネスブルグ。政府は人工知能を搭載した二足歩行兵器「スカウト」を導入し、犯罪率の激減に成功を収めていた。ボスへの上納金に困窮していたストリートギャングの三人組は、スカウトの操作装置を奪う計画を図り、その本体の強奪を狙っていた。一方で開発者のディオンは、スカウトを兵器としてではなく、感情や意志を持つ人間らしいロボットの研究を進めていた。やがて彼は、ついに「心」の創造に成功し……。
レビュー
「第九地区」で脚光を浴びたブロムカンプ監督が送る、SFアクション超大作。
正直申しまして、同監督作の「第九地区」が嫌いな部類の作品だったため、あんまり期待はしていなかったのです。
映画予告のポスターには、二足歩行型ロボット(チャッピー)が壁にラクガキをしていて、「ボクを、なぜ怖がるの?」というキャッチコピーがついていました。
これを見て、「ははぁ、近未来を舞台に、家庭用愛玩ロボットが次第に暴走しはじめるSFサスペンスかな?」などと見当違いをしながら観たのですが、結果的には、
「アンドリューNDR114」と、
「攻殻機動隊」と、
「ロボコップ」を足して、
何も割らないみたいな内容でした。
最高です。
映像、音楽、アクション、人間ドラマ、どれ一つ拾い上げても一級の質を誇り、「生命とは何か?」、「人間を人間として定義させるものは何か?」といった、心に深く突き刺さる問いかけをも投げかける。このような映画に出会えたことに、僕は快哉を叫びたい。この作品に限っては、この場ではどれほど言葉を重ねた所で、この映画を正当に評価する賛辞には到底追いつかないですね。
「心」を埋め込まれたスカウト、「チャッピー」は、初めはまるで赤ん坊のような真っ白なキャンバスを持っていました。彼は、人と会話をし、世の中の仕組みを知り、好きなものと嫌いなものの区別ができ、自分だけの芸術も生み出す無限大の可能性を秘めていたのです。
しかし、彼を誘拐したギャングの恐るべき教育によって、チャッピーは強力な殺戮兵器と化していく。しかし、彼は人を殺すことを「悪」と認識できないのです。いや、人を殺すという行為すらも正しく認識できていない。ギャングに利用され騙され続けたチャッピーはあくまで純粋無垢な存在であり、それが何よりも切ない。
そして、それぞれの思惑や執念は、終盤になるにつれ対立の加速を増し、脳内麻薬溢れんばかりの洗練されたアクションへと収斂していきます。映画が与えてくれる、あらゆる素晴らしさが詰まった、永遠の名作です。
ではまた。