きねぞう ~気ままに映画評~

映画の感想を述べていくブログです。

【映画評:帰ってきたドラえもん】「君に勝てないと、ドラえもんが、安心して未来に帰れないんだ!」

 

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回紹介するのはこの作品です!

 

 

帰ってきたドラえもん

製作:1998年日本

監督:渡辺歩

出演:大山のぶ代

  :小原乃梨子

  :野村道子

  :たてかべ和也

  :肝付兼太

評価:

 

■ストーリー

ある日、いつものようにジャイアンに追い回されたのび太は、ドラえもんに泣きつき、道具が欲しいとねだる。しかしドラえもんの態度はそっけない。実はドラえもんは未来の世界に帰る事になってしまったのだ……。

 

■レビュー

ドラえもん のび太と南海大冒険」の同時上映作として公開された短編アニメーション。原作並びにテレビアニメとしても人気を博したエピソードを劇場版としてリメイクしています。

まず冒頭のシークエンスに注目して頂きたい。線路沿いに桜の木があり、青い風船が映り込みます。まるでドラえもんの頭部を思わせるそれは、持ち主の女の子の手を離れ、空に吸い込まれるように飛び去ってしまう。シーンが変わり、ドラえもんの頭部が同じような構図で映されます。「桜が見られてよかった」とドラえもんは呟き、物語の始めから惜別を暗示させています。桜がのちの伏線にも繋がっていて、丁寧な作りを感じますね。

 

突然、未来に帰ってしまうと打ち明けられたのび太は断固反対。しかし押入れの中で泣いていたのび太は、玩具箱の中からだるまを取り出し、お婆ちゃんと約束した「ぼく、だるまになる。転んでもちゃんとひとりで起き上がる」という言葉を思い出します。約束を思い出したのび太は、ドラえもんを心配させないために別れを決心するのです。

最後の夜だからと、同じ布団で寝る二人。「寒くない?」とドラえもんに心配されます。カットが変わると、二人で寝ているために、のび太側の布団がすこしめくれているんですが、のび太は「ううん」と返す。のび太の優しさを、さりげなく描いた名場面だと思います。

 

さらに、今作は背景が秀逸だと感じます。眠れない二人は、夜の道を散歩するのですが、通常のドラえもんアニメでは単純化している背景がとても描き込まれている。道路工事の看板だとかフェンスが書き込まれていて、赤いランプがぼおっとドラえもんの体を染めるのです。このリアルな背景の描き込みによって、「ドラえもんが未来に帰ってしまう」という「現実」を、シリアスに、生々しく描くことに成功していますね。

 

個人的に好きなところは、のび太ドラえもんのために、どら焼きを買いに行く場面ですね。ドラえもんが帰ってきたとジャイアンに告げられ、喜びの余り、自分の貯金箱をひっくり返して買い物に行くんです。普段は散財して一文無し同然ののび太が、有り金全てをはたいて、ドラえもんを喜ばせようとする。これだけで僕は泣きそうになります。というかこの作品の全シーン、全カットで泣けますけどね。

 

余談ですが、僕は原作のドラえもんよりも、今作のような旧アニメ版時代のドラえもんの方が好きなんです。原作やリニューアルアニメはドラえもんのび太の関係が悪友めいた「親友」として描かれているのに対し、旧アニメは母親のような、のび太にとっての優しい「保護者」として描かれているから。

だからこそ、ドラえもんとの別れは、のび太にとってより悲劇であり、成長せざるをえない試練なのです。

 

ではまた。