きねぞう ~気ままに映画評~

映画の感想を述べていくブログです。

【映画評:学校の怪談3】前田亜季のアイドル映画としては合格点!

こんにちは。

杵蔵(きねぞう)です。

 

今回紹介するのはこの作品です!

 

 

学校の怪談

製作:1997年/日本

監督:金子修介

出演:久保田良

  :前田亜季

  :西田直美

  :黒木瞳

  :豊永利行

 評価:B+

 

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はい。2と比べればまだ保存状態がいいですね。

今回は「鏡の世界」がモチーフになっているため、パンフレットもそれに沿った趣向でございます。

 

 

□ストーリー

槙町小学校には、映した者を異世界へと誘う「タイチの鏡」がどこかにある、という噂があった。運動会の放課後、母親と喧嘩した久保田良は家出をするが、ひょんなことから他の生徒たちと一緒に、夜の学校で「タイチの鏡」を探すはめになってしまい……。

 

□レビュー

人気ジュブナイルホラーシリーズの第3弾。監督は1、2作目を務めた平山秀幸から、金子修介へと変更。

映画シリーズにおいて、3作目というのは鬼門です。

ターミネーター3「エイリアン3」の例をみても明らかですね。

 

シリーズそのものが持つ面白さは、大体が1、2作目で尽きてしまい、旨味の余地がほとんど残っていないのです。そのために作品の方向性や持ち味について一歩踏み込んだアイディアが必要になってきてしまう。大抵の3作目というのは2作目の焼き直しか、新しい要素打ち出そうとして失敗するかの2パターンです(前者はターミネーターで後者はエイリアンって感じですね。個人的にはエイリアン3は好きですが……)。

 

 

さて今回は、ある程度ネタバレを含んでおります。ご了承ください。

 

 

まず評価したいのは、きちんと「学校の怪談」の「怪談」の部分にフォーカスをあてたところです。「運動会の二人三脚で転んだ生徒は、鏡の世界に連れ去れてしまう」という生徒たちの噂をモチーフにしたことは、まさに「学校の怪談」にふさわしいです。正直、1、2作目ではそこは配慮されてなかった部分ですしね。

 

舞台を木造校舎から現代の鉄筋校舎に変えたのも、僕は好ましい判断だと思います。学校の怪談には、確かにノスタルジーさが通底していますが、それは、その時代を精確に切り取ったからこそ生まれるモノ。無理に「三丁目の夕日」みたいに加工した昔にこだわる必要はないのです。

 

そして相変わらず、異変に巻き込まれる生徒たちにはそれぞれ事情があり、ひょんなことから学校に集まってしまった、という設定が素晴らしいですね。全員が心霊やオカルトに理解のある「心霊研究会」みたいなのが、生徒からの心霊相談を受けたりするような話は僕は嫌いで、本来、関わることのなかった人たちが異常事態に巻き込まれ、否応なく行動を共にし、その過程で信頼関係を築き成長していく、という筋書きが好みなんです、あくまで。そこをきちんと守っていただいて嬉しい。

 

さて、つづいてネタ切れと揶揄されている妖怪たちのバリエーションですが、僕はこれにも好意的な感想を持ちました。特に「人体模型」と「のっぺらぼう」は造形やエピソード含めて素晴らしい。「人体模型」は、主人公がかつて友達としたイタズラが原因になっているのですが、こうした因果応報を描くことで、子供たちが観る映画としてもいい。担当している野田秀樹がいい仕事してますよ。ことあるごとに触れていきたいのですが、僕はホラーは最高の道徳教育だと思っているので、こういう要素を入れてくれるのは嬉しいです。

「のっぺらぼう」は、子供たちの顔をはぎ取ろうとしてくる、なかなか猟奇的なキャラクターで秀逸だし、「テストの点数が悪かったから、お母さん顔とられちゃった」というセリフもいいですね。この「のっぺらぼう」のシークエンスも「いったん学校から脱出できたと思ったら……」という弾みもあって、出色の出来栄えですね。

ラスボスがしょぼいじゃないか、という声もありますが、僕はこれでいいと思います。校内に今まで背景のように映っていたものが、やがて本性を現す、という流れは好きです。

 

なにより本作は、アイドル映画としてよくできているんです。さすが金子監督ですね。

映画の出来について言及する方は多いと思いますが、この点については認めるのにやぶさかではないじゃないでしょうか?事実上、前田亜季の最高傑作だと思いますよ!

 

さて、ここまで褒めちぎってきましたが、ダメなところがない訳じゃないんです。

例えば、今回は子役のセリフがよくない。非常に説明的で、「これを言われたら、こう返すことになっている」といった感じで、段取り臭い。これは子役の演技の問題ではありませんね。脚本の問題だと思います。

登場人物に繋がることですが、この映画全編が妙な青臭さに満ちている。幼稚的といっていい。感動させよう、とか、いい話にしよう、とか作り手の意図みたいのが見ちゃってるんですよね。さきほど、幼稚的という言葉を使いましたが、意外と子供はしっかりと作品を観てるんですよね。だからあまりナメてはいけない。

1作目で感じたあの異様なリアリティを思い出していただければ一目瞭然です。あのどこにでもいるような小学生さはなくなっています。本作は、「いま、そこに生きている人物」というよりも、記号性や属性がにじみ出た「キャラクター」ぽくなってしまっている。人間性が一面的で、悪い意味でアニメ的といっていいでしょう。

1、2作目の、あの生徒たちの何気ないやりとりは非常に重要で、今でも鑑賞に堪えうる作品になっているのは、案外その部分が大きいと感じています。それだけに、今作の芝居臭さは大きなマイナスポイントとなります。

 

さらに、致命的だと思うのはタイチの存在です。

タイチは友達が欲しくて、運動会の二人三脚で転んだ生徒を鏡の世界に引き込んだのですが……映画の冒頭をみると、昔にある女子生徒を一人引き込んでいるんです。

彼女はどうなったんだ?

その後、助かってはいない筈なので、彼女は鏡の世界で永久にさまよっているはず……。

ひどくね?

それで、タイチはいい人でした、みたいな善玉として登場されても……。冒頭の女の子は犠牲になったままですからね。「まぁまぁ子供向けの映画なんだから……」と思うかもしれませんが、子供向けの映画だからこそ、こういう話作りは丁寧にしてほしいですね。幽霊と友情話をやるんだったら。

まぁ、とはいえ、魅力的な部分は沢山ある映画です。1作目、2作目を楽しめた方ならシリーズ作品としても絶対に見逃せない一本です!

 

あとエンディング!素晴らしいです。

Dual Dreamの「Splash」がとても良い。

ホラーのエンディング曲は、ギャップのある「さわやかで明るく、どこかノスタルジックな曲」が一番合う!ナイスな新要素。

 

なんやかんやで色々語りがいのある作品でしたね。

 

ではまた。