きねぞう

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映画評:あらゆる影響を与えた【天国と地獄】

 

こんにちは。

杵蔵です。

今回も黒澤明の名作映画をレビューしていきます。

 

 

天国と地獄

製作:1963年/日本

監督:黒澤明

出演:三船敏郎

  :仲代達矢

  :香川京子

  :石山健二郎

  :山崎努

rating:80点

 

 

ストーリー

製靴会社の常務・権藤の屋敷に電話が掛って来る。

「お前の子供を誘拐した。三千万円用意しろ」という内容に家族は動揺するが、息子はひょっこり姿を現す。

ほっとしたのも束の間、誘拐されたのは部下の子供だった。しかし攫う子供を間違えたのにも関わらず、誘拐犯は依然として金を要求し……。

 

レビュー

エド・マクベインの小説「キングの身代金」から着想を受けて作製された、巨匠・黒澤明の名作。

娯楽映画としての一つの頂点であり、とんかつの上にカレーをかけてその上にハンバーグを乗せて卵でとじたみたいな、濃厚で贅沢な一作です。

身代金を払ってしまえば破産は確実、人生を棒に振ってしまうのは明らか。さらに言えば、いくら部下の子供とはいえ赤の他人です。

しかし誘拐犯の思惑通り、権藤は苦悩します。権藤だけでなく、子供も心配だが権藤に迷惑はかけられないと葛藤する部下。

権藤の人間味に次第に好感を持ち、捜査に情熱を燃やし犯人を憎悪する警察。卓越した人間描写に舌を巻きます。

さらに印象的なのは、本作の象徴的なシーンともいえる、列車での身代金引き渡しの場面。犯人の巧妙なトリックと駆け引き。この場面も本当にハラハラしっぱなしでした。

このシーンを撮影するために、列車が鉄橋に差し掛かる所で民家が邪魔だから二階だけを取り払ったとか、公開後にこの手法を真似した模倣犯が続出したなど、幾つかの逸話を残しています。

ではまた。